器体の貫入が「ひびの入った卵の殻」のように見える景色を、「蛋殻磁」と言います。古くは中国の景徳鎮窯で多用された技法であり、同窯ではさらに器体を薄く軽く作られていました。しかし波山の「蛋殻磁」は厚みがあり、どっしりとした存在感のあるものが多く見られます。一方で器形は、口縁から脚に向かう直線と曲線の様子が和装の「ハカマ」を連想させることから「袴腰」と呼ばれるもので、波山は特に直線部分が垂直になるように心血を注いだと言われています。