香合とは御香を収納する蓋付きの小さな容器のこと。古くは茶道具あるいは仏具として使用されてきましたが、今日では置物や小物入れとしても重宝されています。 他方、桃は古来より子孫繁栄の暗喩であり、桃源郷に由来する理想郷を想起させることもあり、別名「仙果」と呼ばれる吉兆のシンボルとして親しまれてきました。 本作は、枝からもがれたばかりのような葉付きの桃を象ったものです。実の色は赤、葉と茎には青系の釉薬が施され、さらには葉をよく見ると虫食いの跡があり、写実的な様相を呈する佳作です。