睡蓮の葉の下を気ままに泳ぐ小魚が描かれています。あえてぼかして塗られた睡蓮の葉や淡く透明感のある色使いは、どこかで見た記憶をほのかに思い起こさせるかのような、懐かしく夢幻的な印象を与えます。 作品名である「うたかた」とは、水面に浮かぶ泡、またはその泡のように儚く消えやすいものを表す言葉です。作者は、この言葉が表すような、普段視界に入っていても記憶に残らない、身の回りの出来事に着目し、作品を描き続けています。この作品はまさにそんな身近な風景の刹那を描いた作品です。