芙蓉や桔梗、ススキなどの晩夏・初秋を飾る花が描かれています。その趣は、夏の盛りも過ぎた頃、「ゆく夏」を惜しみながらも、到来する秋の物憂げな風情を快く感じさせるようでもあります。
中でも酔芙蓉を、画家得意のモチーフで、その酔芙蓉について、画家は次のように語っています。
「早起きの花は数多くあります。特に芙蓉の花は、早朝目が覚めてふと庭に目をやると、すでにしゃんと涼しげに咲き誇っています。酔芙蓉は気温の上昇とともに花弁の色を変えていきます。朝8時頃までは純白。その後徐々に紅の色を増し、正午前にはなんとも妖艶な濃いピンクに色付きます。酔う芙蓉とは、まさにぴったりの名を付けたものだと思います。しかし一日きりの命、翌朝には深紅のしおれた花を、ぽたりと地面に落としています。」