作者
高村 光雲 TAKAMURA Koun
作品名
聖徳太子立像 Statue of Prince SHOTOKU
制作年
大正9年
表装
立体
サイズ
10.8 x 15.7 x 38.3 cm

 柄香炉を手に持ったが聖徳太子(厩戸王)が眉を吊り上げ、伏し目がちに厳しい表情を浮かべています。
 587年に用明天皇が崩御しますが、本作では、病床に臥せる父親の快復を仏に祈願する青年の姿で表現されています。法隆寺伝来の古画等を範としながらも、一本の桜の木から彫り出された厳粛で凛としたたたずまいが印象的で、まるで生きているかのような写実性も作品の魅力であると言えるでしょう。
 ところで、柄香炉の鎮子に目を向けると獅子が象られています。獅子は狛犬と同一視されることも多く、古来、魔除けの神獣として親しまれてきました。その造形は重要文化財の《獅子鎮柄香炉》(奈良時代)を想起させ、その重文の柄の裏には「太子於岡本宮法花御講讃之香呂也」の刻書があります。時代考証にも真摯に取り組んだ作者の制作姿勢が垣間見える逸品と言えるでしょう。

  • 人物
  • 大正