眩いばかりの金地を背景に木製の橋と群生するカキツバタが描かれています。
本作は、京都の上賀茂神社の摂社 大田神社にある「大田ノ沢かきつばた群落」(天然記念物)に取材した屏風です。我が国のカキツバタを描いた作品と言えば、尾形光琳の国宝《燕子花図》やメトロポリタン所蔵の《八橋図》が有名です。それらの名作をオマージュしながらも画伯独自の解釈と表現が盛り込まれており、その織りなす光景は活力に満ちていると言えるでしょう。これまでの研鑽の集大成と呼ぶにふさわしい大作です。
他方、タイトルに目を移せば、過去の名作を昇華するだけに留まらず、未来へとつないでいこうという想いを感じずにはいられません。