睡蓮と蓮は、仏教では仏の悟りを意味する花とされています。泥の中に根を張り、水上に美しい花を咲かせる姿が、煩悩や汚れに染まらない清らかな精神に通ずるといいます。
揺らめく水面に描かれているのは一輪の睡蓮です。整った花弁は白と桃色で淡く描かれ、純潔な印象を与えます。花の中央には、悟りの輝きを思わせるかのような橙色の葯。あえて水を白で表現することで、作品全体の清浄さをより引き立てているのです。高潔な空気をまとった優美な逸品といえるでしょう。