ここでは京都市北区の柊野にある八重椿の名木が描かれています。樹高8.8m、樹齢は400年を超えるとされ、1984年に京都市から天然記念物の指定を受けました。ちなみに本当の幹は盛土で隠されており、地表から突き出ているのは本来枝で、中心の最も太いものの周囲は1mにもなり、例年4月中旬から下旬にかけて開花します。
「椿の語源は”艶葉木”との説があるほど、つややかな深い緑の常葉と・・・色鮮やかに咲き分ける花との対照は、うっとりするほど魅力的です。・・・美の女神が棲んでいると確信している」と画家は語っていますが、陽光を想起させる金色を背景に、絢爛豪華に咲き乱れる様子は、新たな生命が芽吹く季節の到来を見事に表現しています。