作者
森田 りえ子 MORITA Rieko
作品名
生きる To Live
制作年
平成23年
素材・技法
紙本彩色
表装
額装
サイズ
117.0×91.3cm

 画家は、この作品について、次のように語っています。
「2011年3月11日、日本国中を震撼させた未曾有の大震災と原発事故が、東日本で起こりました。日を追うごとに増え続ける死者、行方不明者の数…。家を失い家族を亡くされた被災地の方々の、悲しみに沈む姿を報道で目にするたびに胸が痛み、涙を流さずにはいられない毎日を過ごしておりました。
失意の中にいても季節だけはいつもと同じように過ぎていきます。4月の桜のピークが過ぎた頃、庭先の椿に目がふと留まりました。今まで創作意欲を掻き立てられることがあまりなかったその花に、釘付けになったのです。百合咲きという種類のこの椿は、ひっそりと葉に埋もれるように、花を下向きに咲かせます。ところが今年の花は違って見えました。花弁をぐっと天に向けて反り返り、真紅の花びらの中から白い蕊と黄色の葯を覗かせて、連なるように咲いていたのです。まるで花の一つ一つが、生きようと魂の叫びを上げているように感じられました。花に導かれるように、夢中で写生をし、出来上がったのがこの作品です。
被災された方々への鎮魂とエールの気持ちを込めて、タイトルを「生きる」といたしました。」

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