活力が漲っているような紅白の牡丹が、二曲一双屏風の大画面に描かれています。この牡丹について、画家は次のように語っています。「牡丹は別名「花王」「富貴花」とも呼ばれています。春爛漫の4月中旬、繊細な花弁を幾重にも重ねた大輪の花を、一本の茎に一つずつ付けます。その気品に満ちた見事な姿は、威風堂々としてまさに「花の王」の名にふさわしいものです。多年草の牡丹は年を重ねるごとに、木を少しずつ太らせ、たくましく成長してゆきます。「立てば芍薬、座れば牡丹」という美人を表現する文句がありますが、大地にしっかりと根をおろし、葉を大きく天に向かって広げる牡丹は、この世の春を精一杯に胸を張って生きる女性の立ち姿のように思えてなりません。」