作者は、「和を楽しみ、いのちを描き、出会いを喜ぶ」ことを信念に、四季をテーマにした花鳥画や静物画を多く手がけています。作者は出会いを大切にし、何気ない景色でも、季節・天気・時間の変化や、その時々の気持ちで見え方が異なるため、今でも新しい出会いを求めてよく散歩に出かけているそうです。
《蔦》は、作者の故郷である、京都の稲荷山を描いたものです。紅葉した蔦に実をついばみに来た雀からは、作者のいのちあるものに対する愛情が感じられます。一方で、あえて古い金屏風から切り取った絹に描くことで、“古きをたずね新しきを知る”という姿勢が表現されています。背景の金屏風と絵が馴染むことで、作品の上品さと気高さがより際立っているとも言えるでしょう。
この作品を通して、作者が出会った光景に込められた想いを共感してみてはいかがでしょうか。何か新しい出会いがあるかもしれません。